念願の磯マグロ

4月19日午後1時。
どこまでも青く透き通る空。ポツリポツリと浮かぶ白い雲。『空ってこんなに遠かったんだ~』
湖のように穏やかな海。どこまでも続く水平線。ロタブルーの海は、空との境目を感じさせない。『自然を独り占め~』
ロタホールの沖合いにボートが浮かぶ。150m下の水底が見通せると錯覚するように透明感のあるロタの海に、釣り糸が吸い込まれていく。わずかな波に揺られ上下する竿先。その一点を見つめていると、今まで生きてきた短い人生がフラッシュバックされるような感覚、気分はまるで修行僧のように。『魚?』そんなものは、釣れたって、釣れなくたっていい。ドル安、ガソリンの値上がり、テロ行為、飢餓、そんなものがあふれていいる世界の片隅でのんびりと過ごすひと時。そう、『魚?』そんなものは釣れたってつれなくたっていい。この時間が永遠に続く…

『キタ~~~~~! おっしゃ~~~! あたりだ~~~! でかい、このあたりはでかい!』

落ち着け、落ち着け! まずは、相手の出方を見るんだ。 電動リールの表示は150m。 落ち着くんだ! 今まで先制攻撃を仕掛けて、何度となくカウンターのとび膝蹴りをもらってKO。悪夢を思い出せ!相手の出方を見ろ! 相手の右ローキックに合わせて右のカウンターのストレート。 相手がバランスを崩したところでグランドに引き込み、マウントを取って氷の拳でパウンドを振らせろ! ゆっくりだ!電動リール封印! 手だ! 原点に戻れ! ゆっくり上げるんだ。

よし、80m。ここまでは、今までも上げてきたじゃないか。 ここで気を抜いて、何度下から三角締めを決められて、意識を失ったんだ! わざと隙を作って相手が動いたところで、バックマウントを取れ! そして、ひじの角度は90度、左右からパンチをくりだせ! そこだ!相手のあごが上がったところで、バックからのチョークスリーパー!

30m。よし、ここまでくればあと少し。気をつけるのは、弱ったところをサメにかじられること。しかし、あせるな!ゆっくりだ!ゆっくり! しかし、電動リールを封印しているから左手が痛い。筋肉が震えている! 泣くな!泣き言を言うな! お前ならできる!

残り10m。もう少し! 魚影が見えてきたぞ! で、でかい! 1mはゆうに超えている! イ、磯マグロか! でかい! ステーキ、手巻き寿司、お刺身、何で食べてもまだあまるほどにでかい! もう少しだ! サメに気をつけろ! 

よし、水面まで来た~~~~~!

…へえ~、磯マグロってこんな形してるんだ~。って、オイ! サメだろこれ! サメ釣っちゃったの…。

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《ダイバーの皆様の為のあとがき》
もちろんすぐにサメさんが傷つかないようにフックを外してリリースしました。サメさんは、元気に泳いでいきました。 皆さんがロタに来てダイビングされた時に、ガイドがサメを見つけて、スレートに『磯マグロ』と書いたら…、笑ってやってください(涙)。

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